きっかけは工場見学。
従業員からの一言を胸に
「高校では家庭科のクラスでした。それが11年間も電気の配線を行うなんて、人生は予想がつかないものですね」。そう言って笑うのは、電機係配属の杉本。就職の際に先生に紹介され、ミロク機械に見学に来たのが入社のきっかけです。
「いろいろな部署を見学させてもらったものの、正直に言えば、業務内容にはまったくピンと来ませんでした。その時はここで働いている自分なんて想像もしていなかったです。」
気持ちが動いたのは、その後配属されることになる電機の部署を見学した時。そこで働く従業員から「私でもできるんだから大丈夫。試しに受けてみたら」と気軽に声をかけられたそう。その時のことが印象に残り、「工業高校出身でもないのに大丈夫なのだろうか」と不安を持ちながらも思い切って面接に挑んだところ、見事に採用。それが電機配線の道へのスタートでした。


「何も知らない、何もできない」
からのスタート
最初の一年は、基礎を覚えることで精一杯。何しろ道具はドライバーくらいしか知らなかった、と話す杉本。同期入社の新人は全て工業系学校の卒業生で、1人だけ何も知らない状態とあれば本人は不安でたまらなかったでしょう。道具の使い方も図面の見方もなにも分からず、先輩たちに手取り足取り教えてもらう毎日でしたが、同僚や先輩からの手厚いサポートによって、実践を積んでいきました。
「最初は『今日もまた仕事か……』とブルーになるほど落ち込んでいました。それでも辞めずに続けられたのは、丁寧に指導してくれた先輩方のおかげです。業務の進め方はもちろん、チェックやサポートも徹底してくれて『大丈夫か?』といつも気にかけてもらっていました。入社して一年ほど経ってようやく『なんとかなるかな』と思えました。そこまで親身に教えてくれた先輩方には、今でも頭が上がらないです。」
作業に慣れても、
二重三重のチェックを怠らない
鉄板に穴を開け、電子製品をケーブルでつないでいく電機配線。勤続11年目となる杉本は、もう流れるように作業をこなすことができます。それでも、先輩たちに助けられていたあの頃の自分を忘れないようにしたい、と話します。
「作業には慣れましたが、『丁寧』であることは怠らないようにしたいです。間違わない、ミスをしない。仕事に向かっているからには当たり前のことですが、私は、昔は本当にボロボロだったので。『ミスをしなくなったね』『1人でやったところがちゃんと動いたよ!』と言われた時どんなに嬉しかったか。その時の気持ちを忘れないように、慣れたからと言って慢心しないようにと、いつも心がけています。」
この業務で学んだことは、「人間は間違えるもの」だということ。それゆえに、何度も繰り返したことのある作業でも二重三重のチェックを怠らず、「大丈夫だろう」と思い込まないことを徹底しています。それは、今までフォローしてくれた先輩方への敬意でもあるのです。
初心を失わず、
さらにレベルアップを目指す
確かに人間は間違えるもの。しかし、成長していくものでもあります。入社時は何もわからず、スイッチを入れた途端に配線がポロポロと解けてしまい、頭が真っ白になったこともあるという杉本ですが、今では設計課の人が作成した図面を元に的確に作業を行うことができます。
「入社時の気持ちはなくさずに、自分のできる範囲のことを丁寧に行いながら、より早く確実に組み上げられるようにレベルアップしていきたいです。そして、設計さんにも配線側からの提案ができるように勉強していきたい。私は部署のみんなに育ててもらった自覚があります。なので、今度は私がみなさんの力になれるように恩返しをする番だと思っています。」
ゆっくりと、しかし確実に歩みを進められる環境の中で、杉本が部署を引っ張る頼もしい存在になるのももうすぐだと感じるような、晴れやかな笑顔で語ってくれました。